東海を巡る真冬の旅 六日目 豊橋市 吉田城

さて6日目となりました。吉田城に参りました。伊勢から徐々に埼玉に向かって帰っているわけですが、本日の予定は吉田城、設楽が原の合戦地、長篠城、浜名湖、浜松城を巡る予定です。

吉田城本丸にある鉄櫓
吉田城本丸にある鉄櫓

吉田城は、まだ遺構が割と残っているので、寄って見たかった所です。

再建された模擬天守閣があります。ですが、本丸のすぐ後ろは豊川です。

吉田城本丸北側を流れる豊川
吉田城本丸北側を流れる豊川

川幅はかなりあり、簡単には攻めることは出来ないですが、本丸がむき出しなのはどうかなぁ。。と言う点と、

豊川の流れの影響をもろに受けるので、浸食が激しいのではないかなと思います。

ただ、海に近いので流れが穏やかなので、さほど浸食も無いのかもしれません。

上野の厩橋城や広島城のように次第に川の浸食で城が壊れるということはないようです。

こういった、縄張りを後堅固の縄張りと言うようですが、ちょっとどうかなぁ。。って思いますよね。

後堅固と言われる吉田城の縄張り
後堅固と言われる吉田城の縄張り

この縄張り図からすると、川を境にして三方向の東と南と西に防御が厚いので、そちらに敵を想定して作っているわけですね。

築城当時(1505年頃)は、今川氏親の命によって、牧野氏が安祥城の松平長親の東三河進出を警戒、尚且つ、渥美郡全域で力を奮っていた戸田宗光をも警戒して築城したといわれています。

現在の縄張りと築城当時の縄張りはかなり違うのではないかと思いますが、立地条件からする感じでは思いっきり戸田氏を警戒しているのではないかと思いますね。

実際、牧野氏と戸田氏と松平氏で奪い合いになり、双方で代わるがわる城主になっています。

う~ん。なかなか壮絶な場所ですね。

この時代、この辺りは、今川氏、松平氏、織田氏でかなり抗争していますよね。

吉田城本丸を東側から、奥に鉄櫓が見える
吉田城本丸を東側から、奥に鉄櫓が見える

節目はやはり家康が独立してからでしょうかね。

家康が桶狭間の戦い以後、独立してまず岡崎城を本城として活動を開始します。

その後すぐ清洲同盟にて織田氏と同盟、後ろが楽になったので、東方向へ進出していきます。

そのとき徳川四天王の一人、酒井忠次へこの吉田城を預けます。

吉田城の堀(土塁)
吉田城の堀(土塁)、道が本来は堀だった所

岡崎城は石川数正が城代。

そしてその後の今川氏真の動きが緩慢なのでどんどん進出されていき、武田・徳川の同時作戦で今川崩壊となります。

家康は遠江を侵攻し浜松城を築城して本城とする。

その後は武田氏との10年戦争ですね。

特にこの吉田城は、元亀2年(この年なのか論争になってますね。)の春に、武田軍が進出して、吉田城を囲まれる。が、酒井忠次以下の必死な働きによって守り抜いた。

という所が吉田城的には、一番盛り上がるだろう所ではないでしょうか。

吉田城の堀
吉田城の堀、川面に対して台地になっているので、かなり良い所に城がある。

自分的には武田VS徳川十年戦争は、武田勝頼公と徳川家康公、お互い同士苦闘の歴史ですよね。

お互い頑張った感が凄く強いですよね。

本能寺の変後、家康に武田軍団が吸収されていったのも、互いを認め合っていたからなんだろうというのが伝わって来ますよね。

しかし、武田派の自分としては、信玄公がもっと早く飛騨を抑え、美濃へ進出して信長が台頭するのを抑えるという形になっていればなぁ。。と思います。

飛騨の鉱山と美濃の豊穣の地を抑えたら、恐らく継続的に戦が出来たのではないでしょうかね。

しかし、最近の研究では信長包囲網も無かったのではないかとか。

武田信玄公もあまり織田とは戦したくなかったとか。

吉田城鉄櫓の石垣
吉田城鉄櫓の石垣

とはいえ、現在残っている縄張りは池田輝政公時代のものとなるらしく、秀吉の意向がかなり入っているのではないでしょうか。

と言うのは、関東から来るであろう家康を抑えるために、背水の陣(後堅固)の城にしている訳ですしね。

しかし、東三河四郡で十五万二千石になるらしいです。

結構、豊かな土地なんだと思います。

武田信玄公の最大版図で甲斐20万石+信濃30万石+駿河20万石+上野半分20万石+飛騨と越中の一部で10万石+遠江20万石位=トータル120万石ぐらいではなかったでしょうか。

そのくらいだったように言われていますので、やっぱり平地の穀倉地帯と海があり港がないと貿易からの収入が厳しいですよね。

さ、あと、この近くの気になる城は、戸田氏が関わる田原城、二連木城と、松平氏の安祥城などが見どころではないでしょうか。

しかし、色々なお城に行きますが、同じ城は一つも無いので、どこに行ってもたのしめますよね。

土のお城も楽しいし、石垣のお城も楽しい、山城もいいし、平城もまたいいしなぁ。

今回の吉田城は、天守の石垣は野面積みで野面積みが好きな自分にはいい感じです。

武田信玄公と武田勝頼公の本は色々と読みましたが、新田次郎さんの本が読んで見て一番いいように思います。

今回、徳川との闘いを深堀してみたいならば、これがおススメです。

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あと、最近では、この本が注目ですね。

武田信玄と勝頼: 文書にみる戦国大名の実像 (岩波新書 新赤版 1065)

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鴨川 達夫
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元亀2年の信玄の三河侵攻は無かった・・・ということになりそうです。

研究が進むとどんどん話が変わって行きますね。

それはそれで楽しいものです。